NotebookLM は PDF、会議録音、YouTube 動画を直接スライドに変換できる。無料で使える。日本語テキストの歪みが最大の弱点だが、「LLM で先に議論してから生成する」ワークフローと組み合わせれば実用的な品質に届く。
NotebookLM とは
NotebookLM は Google の AI ナレッジツール。データ(PDF、Google Docs、ウェブリンク、YouTube 動画、音声ファイル)をアップロードすると、Gemini モデルが内容を分析し、要約、Q&A、ポッドキャスト風音声、そしてスライドプレゼンテーションを生成する。
ChatGPT や Claude との大きな違いは、NotebookLM の回答が アップロードしたソース資料に厳密にgrounded されている こと。勝手に内容を作り上げず、提供されたデータから引き出す。スライド作成において重要、AI の幻覚がスライドに混入しない。
最も使われる機能は文字起こし(Studio パネル内):会議録音をドロップ → 詳細な逐語文字起こしを取得 → Claude や ChatGPT に渡してさらに分析。
NotebookLM スライドプラン
Slide Deck 機能はすべての層で使えるが、枠と制限が異なる:
| 項目 | Standard | Plus | Pro | Ultra |
|---|---|---|---|---|
| ノートブックあたりソース数 | 50 | 100 | 300 | 600 |
| Slide Deck / リビジョン枠 | 制限あり | より多い制限 | 高めの制限 | 最高の制限 |
| エクスポート形式 | 共有リンク、PDF、PPTX | 共有リンク、PDF、PPTX | 共有リンク、PDF、PPTX | 共有リンク、PDF、PPTX |
| ウォーターマーク削除 | 不可 | 不可 | 不可 | 可(Infographics と Slide Decks に正式対応) |
たまにスライドを作る程度なら Standard で十分。ヘビーユーザーは少なくとも Pro でソース上限が必要。ウォーターマーク削除は Ultra のみ、Pro でも対象外。
4 ステップで NotebookLM スライドを作る
Step 1:ソース文書をアップロード
新しい Notebook を開いてマテリアルを追加する。サポート形式:PDF、Google Docs、Google Slides、Google Sheets、YouTube リンク、ウェブ URL、テキストノート、音声ファイル。
重要:全部アップロードしない。最も関連性の高い 5〜10 個のソースだけ選ぶ。多すぎると AI が散漫になり、デッキの焦点が失われる。
ソース品質が最も良いのは構造化された Google Docs(見出しと階層あり)。構造化された PDF も良好。YouTube とウェブページはコンテンツの密度次第。
Step 2:Studio パネルで Slide Deck を選択
右側の Studio パネルを開いて「Slide Deck」を選ぶ。生成前に、鉛筆アイコンをクリックしてカスタム設定に入る、ここを飛ばす人が多い。
2 つのフォーマットオプション:
- Detailed Deck:テキスト多め、後で読む / メールで送る用途
- Presenter Slides:ビジュアル重視、テキスト精簡、口頭説明と併せて壇上で使う用途
正式なプレゼンには Presenter Slides がレイアウト的に良い。
カスタムパネルでスタイル指示の Prompt を入れることもできる(「ビジネスブルー基調、各ページ最大 4 ポイント」など)。スタイル Prompt の遵守度は完全に一貫してはいない。
Step 3:生成、レビュー
生成にはソース量に応じて 30 秒〜3 分かかる。バックグラウンドで処理される。
生成完了後、ページ単位で確認する。2026 年 2 月のアップデートで 単スライド編集 が追加:鉛筆アイコンをクリックして特定ページに修正指示を出せる。これは以前のように deck 全体を再生成するより遥かに効率的。
Step 4:エクスポートと仕上げ
3 つのエクスポートオプション:共有リンク、PDF、PPTX。Google Slides で編集したい場合の最も信頼できる方法は PPTX をエクスポートしてアップロードする流れ。
標準的なリファインフロー:
- NotebookLM で v1 生成
- PDF または PPTX にエクスポート
- Google Slides または PowerPoint で日本語、フォント、レイアウトの最終修正

上級ワークフロー:生成前に LLM で議論
データを直接 NotebookLM に投げると、使えるが精度の低い結果になる。NotebookLM は「戦略的に物語を組み立てる」のは得意ではなく、データを忠実に要約するが「このプレゼンの相手は誰か、焦点をどこに置くか」を考えない。
より信頼できる流れ:
- 先に ChatGPT または Claude にデータを与える、受験者、コア論点、ナラティブ構造を議論
- LLM に 完全なスライドアウトライン を出してもらう、各ページのタイトル、3〜4 個のキーポイント、ビジュアル要素の提案
- アウトラインをソース文書として NotebookLM に貼り付け
- Studio パネルで Slide Deck 生成、prompt にスタイル要求を追加
出力のナラティブロジックとビジュアル品質が両方向上する。LLM が考え、NotebookLM が作り、それぞれ強みを発揮する。
会議メモにも同じロジック:iPhone 録音 → NotebookLM 文字起こし → Claude 分析。NotebookLM の文字起こし品質は専門の文字起こしサービスに対抗できるレベル。
色鉛筆スタイル:AI 感を抑えるテクニック
繰り返しのテストで見つけた便利なテクニック。AI 生成画像には認識可能な視覚的特徴(過度に磨かれたグラデーション、不自然な照明、不気味なほど完璧な構図)がある。
prompt に「色鉛筆スタイル、グラデーション禁止」を追加すると、画像が手描き感のある方向に押される。粗い紙のテクスチャ、ムラのある色ブロック、見える筆跡が現れる。出力が手描きに近くなり、AI 感が薄れる。
理由:NotebookLM はデフォルトでクリーン、企業的、ストック写真的な美学に流れる。手描きスタイルがその磨かれた感じを崩す。「グラデーション禁止」と組み合わせることで、最も AI らしさが目立つサインが減る。
より精密なコントロールには:
Soft colored pencil on textured paper, no gradients, no digital effectsHand-drawn illustration style, imperfect lines, warm muted tonesSketch note style with colored pencil accents
これらのスタイル prompt は NotebookLM のネイティブインターフェースで毎回完全に実行されるとは限らない。精密なコントロールが必要な場合は、画像を別途生成してデッキに貼り戻す。
日本語テキスト歪み問題
NotebookLM で日本語スライドを作る時の最大の痛点。生成されたスライドで日本語文字が筆画欠落、部品融合、判読不能なまでの変形を起こすことが多い。文字が長く構造が複雑なほどエラーが起きやすい。

回避策
- 「議論してから生成」ワークフローを使う、NotebookLM に与えるテキストをできるだけ短くする
- エクスポート後に手動修正:PPTX をダウンロード、PowerPoint または Google Slides で歪んだ文字を正しい文字に置き換え
- Google Slides + Gemini サイドバーに切り替え:テキストの正確性が最優先なら、NotebookLM のワンクリック生成を諦め、Google Slides で Gemini サイドバーと一緒に設計してレンダリング問題を完全に回避
- OCR ツールを検討:PDNob Editor などのツールが画像内の日本語をバッチ認識して編集可能テキストに変換できる
Google はこの問題への正式な修正タイムラインを公表しておらず、NotebookLM Slide Deck の底層画像モデルバージョンも明示していない。コミュニティで流れる特定モデル名やパーセンテージのスペック表記は懐疑的に見たほうがいい、これは観察であって公式仕様ではない。
NotebookLM vs Gamma vs Google Slides:簡単比較
| 項目 | NotebookLM | Gamma | Google Slides + Gemini |
|---|---|---|---|
| 中核的強み | 既存データからワンクリック生成 | デザインの自由度、テンプレート豊富 | 完全編集可能、日本語が正確 |
| 日本語対応 | 弱い(文字が歪む) | 良好(テキストは編集可能要素) | 良好(ネイティブフォントレンダリング) |
| 視覚品質 | 高(画像が綺麗) | 中〜高(テンプレート次第) | 中(自分で設計が必要) |
| 編集の柔軟性 | 低(画像としてエクスポート) | 高(各要素編集可能) | 最高 |
| 適切な場面 | リサーチ資料の高速スライド化 | デザイン感重視のスライドをゼロから | 各細部を精密に制御 |
| 価格 | Standard 無料、Plus/Pro/Ultra は Google AI 層次 | 無料 / Plus 年払い $9/月 / Pro $18/月 / Ultra $90/月 | 無料 / Google Workspace または Google AI 経由 |
混合運用が最も現実的。大量のデータを素早くスライドの初稿にする時は NotebookLM、対外提案や正確性必須の場面では NotebookLM で初稿を作って Google Slides で各ページ修正する。Gamma はデザイン感の強いスライドが必要な時に出番。
NotebookLM の画像とナラティブ品質はすでに高く、ほとんどのオフィスワーカーや学生のニーズに合う。最大のブロッカーは日本語のテキスト問題。全英プレゼンなら NotebookLM の体験は遥かに良くなる。
FAQ
NotebookLM でスライドは作れる?
作れる。NotebookLM は2025年11月に Slide Deck を追加。無料版で使える。
NotebookLM スライドの日本語は歪む?
歪む。LLM で先にアウトラインを整理し、エクスポート後に Google Slides で手動修正する回避策が標準。
NotebookLM は無料?
無料 Standard 層あり、加えて有料 Plus/Pro/Ultra。ソース上限:50/100/300/600。
NotebookLM と Gamma はどっち?
用途次第。NotebookLM は既存マテリアルからの生成が強く、視覚品質高いが日本語歪みあり。Gamma はデザイン自由度と編集性が高い。NotebookLM で抽出、Gamma または Google Slides で仕上げる組み合わせが現実的。
こぺんぎんの体験
NotebookLM はこぺんぎんの日常ワークフローの一部で、主に文字起こし用途で使っている。会議録音 → アップロード → 文字起こし → Claude / ChatGPT で分析、というパイプラインを週に何回も回している。
Slide Deck 機能はテストしたが、現状の本番ワークでは使えていない。日本語・中文のテキスト歪みが正式なプレゼン用途では深刻すぎる。デッキ側の画像選択とナラティブロジックは優秀(Gamma より一段上)だが、レンダリング問題で結局 Google Slides で再レイアウトすることになる。
実用的に確立した回避策:NotebookLM はアウトラインとコンテンツ抽出のみ、ビジュアルはすべて Google Slides または Canva でやり直す。多段だが各ツールが最強の役割をこなす。
「色鉛筆 + グラデーション禁止」のプロンプト習慣は表紙画像生成での反復テストから定着した。これを追加すると画像出力の AI 感が大きく軽減される(NotebookLM の遵守度は不安定でも)。
関連記事
こぺんぎんの経験
NotebookLM は日常運用に組み込んでいるが、メインの用途は文字起こし。会議録音をアップロード → 文字起こし → Claude / ChatGPT に渡して分析、というパイプラインを週に何度も回している。Slide Deck 機能は試用したが、繁体字の描画崩れが正式資料には致命的なため本番投入は見送り、現在はアウトラインとコンテンツ抽出のみに留め、ビジュアルは Google Slides / Canva で組み直すワークフローで安定している。英語のみのデッキなら実用に足る品質。
— Penchan