しばらくすると、ネット上ではまた一巡の論争が起こります。Gemini と ChatGPT、結局どちらの方が利用者が多いのか、と。Google は Gemini に 9 億人のユーザーがいると言い、OpenAI も ChatGPT に 9 億人がいると言うので、見たところ互角です。

しかしこの二つの「9 億」は、そもそも並べて比べられるものではありません。本記事はどちらか一方の勝敗を宣言するのではなく、もっと役に立つことを一つします。これらの数字の裏にある指標を見抜く方法をお伝えするのです。次に「某社が某社を追い抜いた」という見出しを目にしたとき、それが本当に筋が通っているのかどうかを、ご自身で判断できるようになります。まず Gemini の背後にある Google を知りたい方は、Google とはどんな会社かをご覧ください。

一言で本記事の論調を定めるなら、問題はどちらの数字が大きいかではなく、これらの数字がそもそも別のものを測っているという点にあります。「あなたが比べているのはどの指標、どの製品か」と問えるようになることは、どの数字を覚えることよりも大切です。


罠その一:月間アクティブ vs 週間アクティブ

第一層の罠は、「アクティブユーザー」という言葉の中に潜んでいます。

Google が公表しているのは Gemini App の**月間アクティブユーザー(MAU)**で、約 9 億、つまり一か月以内に少なくとも一度使った人を指します。OpenAI が公表しているのは ChatGPT の週間アクティブユーザー(WAU)で、約 9 億、つまり一週間以内に少なくとも一度使った人を指します。一週間というハードルは一か月よりはるかに高く、毎週戻って使う人は、もともと毎月一度使う人より少ないのです。

ですから同じ 9 億でも、週間アクティブの方が中身が濃いと言えます。同じ物差しに換算すれば、ChatGPT の月間アクティブはこの数字よりもおそらく大きいでしょう。ただ OpenAI は月間アクティブを一度も公表していないだけです。この一層だけでも、「互角」という結論は成り立たなくなります。


罠その二:誰を「使った」とみなすか

第二層はもっと見えにくいものです。両社の「一人のユーザー」の定義が、そもそも異なるのです。

ChatGPT のユーザーは、能動的にアプリやウェブサイトを開き、文字を打ってチャットする人で、意図が明確です。一方 Google の数字には、いくつもの種類が混ざっています。Gemini App のユーザーは能動的な利用に近いのですが、Google の最大の数字である AI Overviews の 25 億は、「Google 検索の結果ページで AI 要約を目にした」人を数えており、その中には受動的に目にしただけで、まったくやり取りのない人が大量に含まれています。

ピュー研究所のデータははっきりとこう述べています。検索ページに AI 要約が現れたとき、ユーザーが要約内のリンクをクリックするのは約 1%、従来の検索結果をクリックするのは約 8%(要約がないときこの割合は 15%)、そして四分の一を超える人が要約を見ただけで離脱します。この「スクロールしてたまたま目にした」25 億を、ChatGPT のような「能動的に開いてチャットする」ユーザーと比べるのは、ショーウィンドウの前を通り過ぎる人数を、店に入って買い物をする人数と比べるようなものです。


罠その三:成長は押し出されたものか、選ばれたものか

第三層は、Google の最強の資本に関わるもので、同時にその諸刃の剣でもあります。

Google の配信経路は呆れるほど広く、検索・Android・YouTube・Gmail・マップがそれぞれ十億規模のユーザーを抱え、Gemini はこうした入口に直接組み込むことができ、ユーザーは別途ダウンロードする必要がありません。これは OpenAI が羨んでも手に入らない優位性です。しかしそれは同時に、Gemini の利用者数の一部が「選ばれた」ものではなく「押し出された」ものであることをも意味します。Google は Android 上の旧音声アシスタントを段階的に Gemini へ強制的に置き換えており、ユーザーの多くは能動的にそれを選んだわけではありません。さらに同社は、Gemini を YouTube や Google マップといった支配的なサービスに組み込もうと裁判所に申請しています。

この組み込み型の成長には大きな威力がありますが、同時に規制側の注目も招いています。司法省はすでに、Google が Gemini をより多くのサービスに抱き合わせようとしていることに懸念を表明しており、これがかつて検索の独占を固めたあの手口を再現するのではないかと心配しています。受動的な露出で押し上げた利用者数と、能動的な選択で積み上げた利用者数とでは、ユーザーの粘着度と意図という点でまったく別のものなのです。


第三者の数字は何を語るか

両社の自己申告の数字がいずれも比較できない以上、同じ物差しで測った人はいないのでしょうか。最もよく引用されるのは、ベンチャーキャピタル a16z の調査です。

a16z は同一枠の手法(ウェブサイトのトラフィックにスマホアプリの月間アクティブを加えたもの)で比較し、2026 年初頭の時点で、ChatGPT はウェブサイトのトラフィックで Gemini の約 2.7 倍、スマホアプリの月間アクティブで約 2.5 倍、課金ユーザーで約 4 倍、ユーザー一人あたりの月間利用回数で約 2.2 倍であることを明らかにしました。言い換えれば、「能動的な利用の深さ」という面では、ChatGPT が現時点で明らかに優勢です。

ただし a16z 自身も正直にこう注記しています。この手法は本当の AI 利用量を過小評価している、と。なぜなら AI は「独立した目的地」から「さまざまなサービスに組み込まれた機能」へと変わりつつあり、その物差しでは Google 検索内の組み込み利用を測れないからです。もう一つ興味深い発見は、ChatGPT の週間アクティブユーザーの約 2 割が、同じ週に Gemini も使っているということで、これは両者が相手を倒す代替関係というより、並存するツールに近いことを意味しています。


では結局どちらが勝つのか

三層の罠と第三者の数字を並べて見れば、正直な答えはこうです。あなたが比べているものは何か、次第である、と。

能動的なチャットの深さ、課金への意欲、一人あたりの利用頻度という面では、現時点の第三者データは ChatGPT の優勢に傾いています。リーチの広さ、どれだけ多くの人が毎日使うサービスに組み込めるかという面では、検索と Android の組み込み規模を持つ Google の方が大きいです。同一の指標で、ChatGPT の全プラットフォーム利用者と、Gemini に AI Overviews と AI Mode を加えて重複を除いた真の総量とを、同時に測れる第三者機関は存在しません。

ですから次に「Gemini の月間アクティブが ChatGPT を超えた」あるいは「ChatGPT が Gemini を大きく引き離した」といった見出しを目にしたら、すぐに信じたり反論したりせず、一歩引いてこう問いましょう。あなたが比べているのはどの指標、どの製品、どの時点なのか、と。これを問えば、たいていの煽情的な見出しは自ずと勢いを失います。


小企鵝の観察

本記事が語っているのは Gemini と ChatGPT ですが、ここで学んだ方法はすべての AI プラットフォームの利用者数に応用できます。

この軍拡競争では、どの企業も自社にとって最も見栄えのよい指標を選んで数字を報告します。これは普通のことで、嘘とまでは言えませんが、細かく見ない人を誤導します。本当に通な読み方とは、「能動 vs 受動」「月間アクティブ vs 週間アクティブ」「独立 vs 組み込み」というこれらの物差しを常に携え、どんなきれいな数字を目にしても、まずこの物差しで測ってみることです。このように数字を読める人は、情報が飛び交うこの時代に、ほかの人よりずっと冷静でいられるでしょう。

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